わんちゃん、ねこちゃんの歯の予防についてご説明いたします。

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歯の予防について

歯周病予防には「歯ブラシ」を!!

歯周病ってどんな病気?

歯周病とは読んで字のごとく『歯の周りの病気』です。
歯の周りには、セメント質や歯根膜といわれる歯周組織が歯を支えています。細菌の塊である歯垢を放っておくと、歯肉溝といわれるところに細菌が入り込み、炎症を起こして、歯周ポケットを形成します。
歯周ポケットに入り込んだ細菌はどんどん炎症を起こし、やがてセメント質や歯根膜、歯槽骨を破壊していくことで、歯周病が進行していきます。

歯周病を予防するためには、歯周ポケットに入り込んだ細菌を除去しないといけません。
この細菌を掻き出す唯一の方法が歯ブラシを使ったブラッシングです。よく歯ブラシの代わりにガーゼを指に巻いて歯磨きをされている飼い主様もいらっしゃいますが、ガーゼでは、表面の歯垢を取ることは出来ても、ポケットの中の細菌をかき出すことはできず、歯周病予防のための歯磨きにはなりません。
歯周病の進行を防ぐためにも、適切な歯ブラシを使ったデンタルケアをオススメします。

歯周病予防だけでない!歯みがきの重要性

当院がデンタルケアをおすすめする理由は、歯の健康のためだけではありません。
デンタルケア・歯みがきを実施する事で、動物さんと一緒に楽しくふれあう時間がふえるため、飼主様とのよりよい関係を築き、満ち足りた豊かな生活を送ることができます。

~動物らしい本来の食事行動~

動物には、食物を獲得するため生まれ持って備わっている、動物本来の行動パターンがあります。

(1) 嗅覚を使い獲物を探す、見つける
(2) 忍び寄る、おいかける
(3) 捕まえる
(4) 咬む、引き裂く
(5) 食べる

動物が自然界で食事を摂り生きていくためには、この様に獲物を自ら捕獲し食べるという一連の行為がないと生きていけません。
しかし、人間と一緒に生活しているわんちゃんは、飼主様から与えられたフードをわずかな時間で食べ終わり、食べ物を獲得するための一連の行動・本能が満たされていないのが現状です。

そして一日の大半を退屈な時間として過ごしていることが多くなります。
飼主様は、これらの本能を満たす為に、お散歩やおもちゃを使って遊んであげたり、デンタルガムなど噛むものを与え、ストレスを発散する機会をつくってあげて下さい。
犬本来の本能を満たしてあげることで、飼主様と動物の間によい関係を築き、かつ歯周病の予防をしていただく事が動物の生活の質を高めます。

わんちゃんとの信頼関係を築くために

前記のようにフードをただ与えるたけでは、『食べる』という動物の本能を満たす行為が一瞬で終わってしまうので、食事が終わると自由な時間をもてあまし、エネルギーの発散の結果いたずらをしたり、様々な問題行動を引き起こすことが多く見られます。
では、どのようにして、それらの欲求を満たしてあげればいいのでしょうか?一連の本能行為を別の行動に置き換えるとこのようになります。

(1) 嗅覚を使い獲物を探す、見つける (=フード探し)
(2) 忍び寄る、おいかける (=お散歩、遊び)
(3) 捕まえる (=おもちゃ)
(4) 咬む、引き裂く (=ガム)
(5) 食べる

本能を満たすために散歩やおもちゃを使った遊びを実施したり、「デンタルガム」などを与え、噛む欲求を満たしたりして「動物とコミュニケーション」をとることが重要になります。

そして、遊びやデンタルガムだけでなく、飼主様が歯みがきを実施する事が、歯を健康に保つだけでなく「コミュニケーション」として、とても良い行為になります。

デンタルケアには口の中を触るという行為が発生します。本来動物では口を触る行為は、子犬が母親の口元を舐めることで、お母さんにご飯を要求するといった、親子関係などの強い絆で結ばれた信頼ある関係によってのみ生まれる行為です。

この口の中を触るという行為が、よく耳にする『マズルコントロール』という行為です。
しかし、このマズルコントロールを動物の口をむりやり押さえつけ、噛めない状態を力づくで作るといったような間違った理解されている方もいらっしゃいます。

歯みがきをすることにより、動物は自分のマズル(口元)を信頼できる飼主様にゆだねることで、さらに絆が深まり、安心感も与えることができるのです。

歯ブラシを使った歯磨きへの慣らし方

今までのご説明で、歯周病予防のための歯ブラシはとても大事!ということをご理解いただけましたか。
しかし、すぐに歯ブラシを導入するにはハードルが高いことも事実です。わんちゃんが嫌がるやり方で歯ブラシをすると、歯ブラシが大嫌いになり、全く出来なくなってしまうコもいます。
是非、わんちゃんのペースで徐々に歯ブラシを導入していきましょう!

1. まずはお口を触る練習から始めましょう!

お口を軽く触っておりこうに触らせてくれたら、ほめてご褒美を与えます。
いろんな方向から触る練習をしておきましょう。嫌がる場合はご褒美を食べさせながら、嫌がらないように触るようにします。

2. 唇をめくる練習をします。

最初はほんの数秒めくったら、ほめてご褒美をあげます。だんだんとめくる時間を長くしていき、奥歯までしっかり見せてくれるように練習しましょう!

3. いよいよ歯ブラシの出番です!

歯ブラシと同じ手にご褒美用フードを握りこみ、最初はほんの少し歯ブラシを歯に当てたら、褒めてすぐご褒美を与えます。様子を見ながら少しずつ、歯ブラシを歯に当てる時間を延ばし、磨く練習をしていきましょう。最初は一度に全部の歯を無理やり磨こうとせず、わんちゃんが嫌がったり、興奮しだしたら止めるようにしましょう。

無理せずトレーニングをすると歯ブラシを大好きになります♪

※口を触ることが難しい場合・・・

口を見せてくれない、触ろうとすると怒る子には、歯磨きをしなくてもお口の中を清潔に保つことができるデンタルガムやフード等でのデンタルケアをお勧めします。
しかし歯を磨くことは無理でも、お口の中を定期的に見ることができれば、歯石の状態や口内炎、口腔内腫瘍といった病気の早期発見にもつながりますので、今すぐは無理でも、少しずつお口を触る練習をして頂く事をオススメします。

デンタルグッズのご紹介

どうしても歯磨きができない場合には、歯磨きの補助として様々なデンタルグッズがあります。
ここでは、てらい動物病院が推奨しているデンタルグッズをご紹介させて頂きます。

1. 歯磨きペースト

細菌抑制効果があるペーストを歯と歯肉のあいだに塗ります。
甘い味がするので、口に指を入れられるということに対して、最初に良いイメージを持ちやすくなるというメリットもありオススメです。

歯磨きペースト
歯磨きペースト

2. デンタルガム

歯垢・歯石の原因となる細菌抑制効果のある酵素入り+噛むことによる研磨作用で歯石化を防ぎます。
動物さんの好みによって選んでください。
小~中型犬ではオーラベット、中~大型犬ではビルバックチュウがおすすめです。

デンタルガム
デンタルガム

3. デンタルバイオ

プロバイオティクス(口腔内善玉菌)とプレバイオティクス(オリゴ糖)、ラクトフェリンなどが含まれたサプリメントです。
嗜好性が良いので砕かずにそのまま与えてください。

t/d

4.オーラティーン

天然酵素配合により、歯肉炎、歯周病を起こしている状態の改善や維持を目的として使用します。猫さんでも使いやすい嗜好性です。

t/d

5.歯ブラシ

小~中型犬のわんちゃんは、口の中に歯ブラシを入れて磨くのが難しいため、ヘッドが小さく、ブラシの厚みの少ない製品をおすすめします。

歯ブラシ
歯ブラシ

てらい動物病院と一緒にデンタルケアを始めましょう!

デンタルケア

デンタルケアを行う事によって動物本来の行動を満たすことができ、かつ、歯周病が進行することがないよう、また病気の早期発見のために、てらい動物病院ではデンタルケアのアドバイスをさせて頂いています。
デンタルケアは動物の口だけでなく、全身を触れるためのステップの1つになりますので、ぜひチャンレジしてみてください。
動物が楽しく歯磨きが出来ることをイメージして、積極的に取り組みましょう